
テレクラで出会い交渉に成功した女性が羽織っていたグレーのコートを脱ぎ、ボルドーカラーのワンピース姿になったとき、私の舌先にフランス南西部の上等のワインの味わいが広がっていくのを感じた。
丈の短いボルドーのワンピースの裾からすらりと伸びた健康的な太ももは、ソファに座り込むときにスカートの影が三角形の深淵を描き出して、ワンピースに隠された秘部の存在をいやおうなく強調してみせる。
テレクラ女性の黒いヒールから伸びた美脚を眼でなぞっていくとたどり着くことになる最深部は、暗黒性欲の地下水脈を湛えながらも、その溢れ出る直前の洪水の気配をお上品に隠し、じわりじわりと濡れ始め、結界の瞬間を待ち望んでいる。
それを知りながら、私は簡単に彼女のワンピースを脱がして全裸にひんむくというような直情径行的な野暮な行為に及んだりはしない。まずは、テイスティング、入念な愛撫、セックスに到達するまでの道のりの意識的な迂回こそが重要なのだ。
だから、私は彼女のワンピースの裾とパンティによって覆われている割れ目を、彼女のガロンヌ川を見て見ぬふりをして、ボルドーワンピのうえから荒々しく乳房を揉みしだく。
女体という美酒を指先が味わう。指の先端に味覚を感受する器官がないなどと、誰が断言できるだろうか。指先が「美味い」などと感じるはずがない、それは比喩表現だろうと思われるのであれば、そう思っていればいい。
だが、私の指先は、ボルドーワンピの表面に波打ちを与える乳房の感触から確かに美味を感じていたのだ。私はこの指先のテイスティングを指鼓と呼ぶことにした。
私が指鼓を打ちながら女体の味を堪能していると、彼女の割れ目からあふれだす水は彼女の食欲が刺激されて口端からこぼれはじめた涎としてその水量をましていく。
だから、股間の食欲を刺激された彼女が、ワンピース越しに胸を揉みしだく男である私の唇にむしゃぶりつき、舌をからめ、唾液を混じり合わせるディープキスに及んだのは当然といえば当然なのである。
彼女は本当は股間の食欲を満たしたかったのだろうが、私が彼女の股間を見てみぬふりをする以上、彼女は口腔内の刺激を通して股間の食欲を満たそうとするしかない。
ところが唇と唇をおしつけあって口腔内で激しく舌をからませるほどに、彼女の股間の飢餓はいよいよ深刻化していく。触れてもいない膣から流れ出した愛液はいよいよパンツの堤防を越えようとする。
そのタイミングを見計らうようにしてディープキスをしながら彼女のボルドーワンピースの裾から手をつっこみ、彼女のパンティに一挙に侵入する。そして、容赦ない手マンのはじまりだ。
たった一点の刺激だけで愛液は決壊する。それまでは「にじみでる」ようであった愛液は、これからは「流れ出る」のだし、私の手はその流れ出る愛液で指先から手首までびしょ濡れになってしまう。
もちろん、愛液を受け止めているあいだに指鼓は打たれっぱなしであり、手首の首元の喉はごくりごくりと愛液を飲み干す音を鼓動として奏でもする。
降水量の増加とともに川幅を広げて水位をあげていく川を思わせずにはいられないテレクラ女性の愛液の激流はとどまるということを知らないのだし、唇を塞がれながらくぐもったイキ声が連発される。
着衣のままあえなく絶頂をむかえたテレクラ女性のボルドーワンピを脱がすための時は満ちた。着衣絶頂の連続で息も絶え絶えのテレクラ女性のボルドーワンピの裾をつかみ、一気呵成に服を脱がすと、なんということだ!そこには、真紅に染まったブラジャーとパンティを身にまとった肉体が現れたではないか!
私の口からは思わず、素晴らしい、という一言が漏れてしまう。なんという鮮やかな赤だろうか。ブルゴーニュワインの酸味が口内に広がっていくようだ。
彼女の女体の上に指を這わせるとき、鮮血にも似た赤みを思い出させる下着越しの乳房の感触はボルドーワンピ越しにもみしだいときとまるで違う。
だが、忘れてはならない。ボルドーワンピを脱がし、ブラジャーを取り払った先に、乳首という最後の色素が待ち構えているということを。幾重にも隠された彼女の乳首の色次第で、今回のセックスはまるで違った快楽の味になること間違いなしなのだ。
するとどうだろう、ブラジャーの下に隠された彼女の乳首の色は極上のメルローを主原料としたワインのそれではないか!
彼女の女体の上に指を這わせながら、私の指先はボルドー地方からポムロール地方への小旅行を経験することになった。
ボルドーワンピ越しの乳房から、メルローのワインの色素に染められた乳首の愛撫への移行。指鼓によって伝わる微細な味の違いにおもわず感嘆の声が漏れ、激しく勃起する。
もはや我々を遮るものは何もない。あとはただ挿入あるのみである。舌鼓だけでなく指鼓を可能にする私のペニスというものが、鼓を打たないはずがない。いわばペニ鼓である。
ペニ鼓を打つ、それすなわちピストンである。打って打って打ちまくる。打ち付けた腰の激しい動きにあわせて乱れるテレクラ女の嬌声と、締めつける膣による刺激がもたらす快楽は、およそ舌や指先から味わうものとは比べ物にならない。
彼女の膣もペニスを味わい、私のペニスも彼女の膣を味わう。ともに貪りあい、快楽を飲み干す。飲めば飲むほど喉がかわく。愛液は溢れ、精液はほとばしる。とはいえ、透明な愛液はワインというよりは日本酒であったのだし、私の精液はというとあまりにも濃い白濁であったので、白ワインというよりもマッコリであった。