
『宇宙船地球号』などで名前が知られる思想家のバックミンスター・フラーが開発した言葉のなかに「ダイマキシオン」と呼ばれるものがあります。つづりはDymaxionです。
この“Dymaxion”は、“Dynamic(動的)”と“Maximum(最大)”と“Tension(張力)”という3つの単語を複合的に組み合わせた彼の造語で、直訳すぎて申し訳ありませんが、そのまんま「ダイナミックな最大張力」というような意味になるでしょう。
フラーは、彼の思想から導かれたアイデアや発明品などに「ダイマキシオン」という単語を好んでつけていました。その代表的なものは「ダイマキシオン地図」や「ダイマキシオン・カー」、「ダイマキシオン・ハウス」といったものになります。
テレクラ・リンリンハウスのヘビーユーザーである私としては、当然ながら、ここに“Dymaxion rinrinhouse”(ダイマキシオン・リンリンハウス)という新たなダイマキシオンシリーズを提案し、試験的に考察をしていきたいところです。
「ダイマキシオン・リンリンハウス」という言葉をそのままに解釈するならば、「最大限の張力をダイナミックに効率的に引き出すようなリンリンハウス」ということになるでしょう。「ダイマキシオン・リンリンハウス」において、「効率的」に引き出されることが求められるのは、「異性との出会い」であるということは議論の余地がありません。
「ダイマキシオン・リンリンハウス」などと言い出しますと、実際の「建築物」の方向に思わず考えが向いてしまいがちですが、それはあまり重要ではなく、どちらかというと、「異性との出会い」を最小限の力で最大限の結果としてダイナミックに引き出すためのテレクラの使い方とはなにか、という「攻略法」が考察されるべきなのではないかと思います。
たとえば、フラーが実際に提案した「ダイマキシオン・ハウス」のように、巨大な支柱でストリングをつりあげた構造による全面アルミニウムのリンリンハウスを建築することにはあまり意味はないように思われます。それが後々、ドーム型のジオデシック・リンリンハウスになるとしても、無意味が発展しただけ、ということになるばかりでしょう。
「人類の生存を持続可能なものとするための効率的な方法」というフラーが取り組んだ課題にのっとるのであれば、「ダイマキシオン・リンリンハウス」も、テレクラユーザーの生存を持続可能なものにするための効率的なテレクラについての思考になっていくはずです。
それに、「建築物」としての「ダイマキシオン・リンリンハウス」のヴィジョンというのは、そのまま、現在の「無店舗型テレクラ」としてかなり達成されているようにも感じられます。
「無店舗型テレクラ」は、時間と場所を選ばずに「ダイナミック」に即アポをしかけることができるのですし、最小限の課金によって「テンション」の高い交渉をしかければ「最大限」の利益である異性との出会いを「効率的」に得ることがのぞめる、という特徴において、すでに、かなり「ダイマキシオン」なテレクラではあるわけです。
考察されるべき事項は、「ダイマキシオン・リンリンハウス」である現在の「無店舗型テレクラ」における限られた資源=素人女性をいかに効率よくゲットしていくのか、「無店舗型テレクラ」の使い方をいかに、今以上に「ダイマキシオン」にしていくのか、ということになるでしょう。
テレクラユーザーの持続と、テレクラにおける「富」
ここで、リンリンハウスという店舗型テレクラの使い方が再び注目されるのではないか、と私は考えます。
現在のリンリンハウスを改めて利用して、無店舗型テレクラに比べてより限られた貧しい資源である「素人女性」の即アポに成功し、即ハメにまで持っていくことができたならば、そこで見出された方法をもとに「ダイマキシオン」な無店舗テレクラの利用法というものが導き出せるように思います。
「無店舗型テレクラ」の長所であると同時に最大の弱点でもあるところとして「専門化」が極端に進んでしまったということが挙げられるのではないでしょうか。
現在の無店舗型テレクラは、効率化を目指すあまりに、利用目的(出会いかテレフォンセックスか)や出会える女性の年齢や性癖などを予め選択してから利用できる、という大きな特徴を持っています。これは「ダイマキシオン」の目指す「効率」の見地から見ると、相当に正しいものであることは間違いありません。
しかし、「効率」を求めるあまりに「専門化」が進みすぎると、「部分思考」が進行し、テレクラを「包括的」にとらえることはだんだんと難しくなります。
「専門化」による「効率化」によって失われるのは、「ダイマキシオン」における「ダイナミック」や「マキシマム」や「テンション」という要素ではないでしょうか。
「ダイマキシオン・リンリンハウス」としては、「効率化」から始めるのではなくて、できれば「ダイマキシオン」なありかたから「効率化」へと到達していきたい、というのが理想です。
リンリンハウスのようなテレクラは、まず「出会い」や「テレフォンセックス」志望の女性を選ぶことができません。つながる女性も、年齢別でふるいにかけることができませんし、女性の性癖も未分化のまま混沌に投げ出された状態で回線がつながる仕組みになっています。そのうえ、若い女性のほとんどが無店舗型テレクラに流れた現在、つながる女性の質も低下している、というのが現状でしょう。
こうして書いてみますと、店舗型テレクラというのは相当に「効率」が悪いように思われます。ですが、この「効率」が悪い店舗型テレクラで「ダイマキシオン」に動く方法を見つけ出し、その「ダイマキシオン」な動きから「効率」を取り出すことができたならどうでしょうか。
「リンリンハウス」という旧態依然としたテレクラのなかを「ダイマキシオン」に動き、そこで獲得した「効率的」なテレクラ利用法を、無店舗型テレクラという「部分思考」が支配するテレクラに導入するとき、そこに「無店舗型テレクラを包括的思考のもと利用する」という新たな視座が開かれることにはならないでしょうか。
私は、このとき獲得される新たな視座にこそ、「ダイマキシオン・リンリンハウス」という言葉を授けたいのだろうと思います。
おそらく、私は「ダイマキシオン・リンリンハウス」という言葉を通して、「店舗型テレクラ」の代表格である「リンリンハウス」を平面の展開図を開くようにして再び眺め回し、テレクラにおける構造の把握・解体・再構築を提案しているのだろうと思います。
『テレクラ船リンリンハウス号操縦マニュアル』とも呼べるような思考をリンリンハウスから改めて開始し、それを無店舗型テレクラの利用法へと導入し、新しい「出会い」のためのエポックメイキングな即アポ活動を効率的に開始する。それは、テレクラユーザーの生存を持続可能にするための思考とその実践であり、テレクラにおける「富」を探る営みにもなる、といえるのではないでしょうか。